世の中の技術はどれだけあるんだろう?
今日もどこかで特許出願されています。
1日で何件くらい特許出願されているでしょうか?一か月でどれくらい…一年では…
特許庁では、「特許出願等統計速報」という報告書を毎月作成しています。最新の表を見てみると、今年中(2015.1~2015.9)に特許出願された件数は247,221件のようです。
そうすると、
一日で約900件
一か月で約27000件
一年では約33万件
もの特許出願がされているということになりますね。
世界中のみなさんが新しい発明をして日々出願してるんですね。
それにしても、特許制度ができてから数十年続いているとすると、相当な数の特許文献があるということになりますね。
全ての技術を分類した人たち
一年に約33万件にもなる特許文献。
世界的に言えば全部で数千万件にも上る特許文献。
この特許文献を分類したい・・・
技術者たちは立ち上がった。
立ちはだかる数々の特許文献。様々な特許技術。
時に討論しあい、時に励ましあい、
そして、8つのセクションに切り分けた。
プロジェクトえ~っくす
励ましあったかどうかはわかりませんが(汗)、多くの知識人、各国の特許庁などが検討して特許文献の技術分野を分類しました。
この分類のことを国際特許分類(IPC)と呼んでいます。
国際特許分類(IPC)では、特許技術を意外にも8つの大概念でまとめています。(もちろんその中でさらに詳細に分類されているわけですが。)
この分類によって、数千万件ある特許文献の中から、ある特定の技術についてどのような特許が出願されているかを比較的簡単に調べることができるようになりました。国際特許分類すごいですね。
国際特許分類(IPC)を見てみよう
国際特許分類の8つの大概念は以下の通りです。
Aセクション | 生活必需品 |
Bセクション | 処理操作;運輸 |
Cセクション | 化学;冶金 |
Dセクション | 繊維;紙 |
Eセクション | 固定構造物 |
Fセクション | 機械工学;照明;加熱;武器;爆破 |
Gセクション | 物理学 |
Hセクション | 電気 |
もちろん、ここからさらに細かく分類されて行くので、これだけではないのですが、ここから特許技術の全体像が見えてくるのではないでしょうか。
さて、せっかくなので細かく見てみましょう。
例えば、Aセクション「生活必需品」にはどのような技術が含まれているでしょか?
農業 | |
---|---|
・A01 | 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業 |
食料品,たばこ | |
・A21 | ベイキング;生地製造または加工の機械あるいは設備;ベイキングの生地 |
・A22 | 屠殺;肉処理;家禽または魚の処理 |
・A23 | 食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理 |
・A24 | たばこ;葉巻たばこ;紙巻たばこ;喫煙具 |
個人用品または家庭用品 | |
・A41 | 衣類 |
・A42 | 頭部に着用するもの |
・A43 | 履物 |
・A44 | 小間物;貴金属宝石類 |
・A45 | 手持品または旅行用品 |
・A46 | ブラシ製品 |
・A47 | 家具;家庭用品または家庭用設備;コーヒーひき;香辛料ひき;真空掃除機一般 |
健康;人命救助;娯楽 | |
・A61 | 医学または獣医学;衛生学 |
・A62 | 人命救助;消防 |
・A63 | スポーツ;ゲーム;娯楽 |
・A99 | このセクションの中で他に分類されない主題事項 |
なるほど、直接的に生活にかかわる技術分野が含まれているようですね。
続いて、その中のA43「履物」の技術分野の中にどのようなものがあるかを見てみましょう。
・A43B | 履物の特徴;履物の部分 |
---|---|
・A43C | 履物の緊締具または付属品;靴ひも一般 |
・A43D | 履物の製造用または修理用の機械,道具,装置または方法 |
履物の技術の中には履物そのものの技術(A43B)や付属品(A43C)などで分かれています。
さらに奥深く進みましょう。履物の特徴(A43B)の技術分野はどのように分けられているでしょうか。
履物の特徴 | |
---|---|
・1/00 | 材料に特徴のある履物 |
・3/00 | 形状または用途に特徴のある履物 |
・5/00 | スポーツ用の履物 |
・7/00 | 保健または衛生用付属具を有する履物 |
・9/00 | 個々の部分の組合せに特徴のある履物 |
・11/00 | 着脱を容易にする装置 |
履物の部分 | |
・13/00 | 底;底とかかと底とが結合されたもの |
・15/00 | 履物用細革 |
・17/00 | 中敷 |
・19/00 | 靴の形状をしたそう入物;足の甲をおおうそう入物 |
・21/00 | かかと;化粧 |
・23/00 | 甲被;長靴の筒部;補強具;履物のその他の単一部品 |
どんどん具体的になってきましたね。履物の材料だったり、底だったり、かかとだったり、かなりピンポイントに技術分野が分かれてきています。
そして最後の一歩。それでは材料に特徴のある履物(1/00)についてみてみましょう。
・1/00 | 材料に特徴のある履物 |
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・1/02 | ・動物または植物繊維またはそれらの織物でつくられた履物 |
・1/04 | ・・紐編みしたもの,結びつけたもの,メリヤス編みしたもの,またはかぎ編みしたもの |
・1/06 | ・木,コルク,厚紙,紙または類似の繊維質材料でつくられた履物 |
・1/08 | ・金属でつくられた履物 |
・1/10 | ・ゴムでつくられた履物 |
・1/12 | ・・屑ゴムでつくられたもの |
・1/14 | ・ガタペルチャ,セルロイド,または合成樹脂でつくられた履物 |
これが最終的な技術の分類です。つまり履物に関する技術で材料に特徴があり、その材料が金属である技術については、
A43B 1/08
というコードで分類してますよ。ということになります。
国際特許分類(IPC)は、8つのセクションから様々な技術を分類しています。
特許技術をどのように分類しているか、興味がある分野をいろいろ調べてみましょう。中にはこんな技術も分類されているんだ!というものが見つかるかもしれません。
国際特許分類(IPC)に興味を持たれた方は、特許庁J-PlatPat中のパテントマップガイダンスから調べることができますので、ぜひお試しください。
次回、IPCの具体的な使い方についてご説明します。