新しい商標の動向

イメージできますか?

ファイト~!イッパ~~ツ!

 

これは何を表してるかわかりますか?

もちろんみなさんがおなじみ(?)のドリンク、風邪をひいたり仕事で疲れた時の疲労回復、また、徹夜仕事ご用達の(?)リポビタンDのCMで使われている言葉です。

 

これを聞くだけで、頭の中には、あの

過酷で、危険な

状況が思い浮かびます。

 

実はこのフレーズ、「音の商標」として登録されました。

 

新しい商標がスタートして1年!

昨年4月、新しい商標の制度として5つの商標が追加されました。

追加された商標は、動き商標・ホログラム商標・色彩のみからなる商標・音商標・位置商標です。

 

動き商標 文字や図形等が時間の経過に伴って変化する商標
ホログラム商標 文字や図形等がホログラフィーその他の方法により変化する商標
色彩のみからなる商標 単色又は複数の色彩の組合せのみからなる商標
音商標 音楽、音声、自然音等からなる商標であり、聴覚で認識される商標
位置商標 文字や図形等の標章を商品等に付す位置が特定される商標

特許庁HP「新たに商標の登録ができるタイプ」より

 

これまで商標といえば、文字であったりマークであったり、静的で視覚に認識できるものでした。

しかし、「ファイト~!イッパ~~ツ!」を聞いて、みなさんが頭にイメージできるように、商品を認識するのは視覚だけではなさそうです。また動いている全体が一つとして商品を認識できるようなものもあります。

 

そこで、商標の制度が、これまでの静的なものだけでなく、音や動きなども商標として他人に使わせない、つまり権利化できる制度に変わりました。

音商標の商標登録出願

今回は音の商標について。実際音の商標はどうやって登録するのでしょうか?

音の商標を手続する場合、通常の商標登録出願の書類と変わるポイントは3つあります。

 

  1. 【商標登録を受けようとする商標】に、
    ・五線譜を用いて記載
    or
    ・文字を用いて記載
    します。
  2. その下に【音商標】と記載します。
  3. 最後に【提出物件の目録】を記載して、その音が入ったCD-Rを一緒に提出します。

なお、CD-R、つまり光ディスクの作成にいくつか規定があります(mp3で作成する等)ので、その点を注意しながら作成します。(特許庁資料「新しいタイプの商標の出願方法」より)

 

音はどうやって表すの?

五線譜を用いて記載する場合

五線譜を用いて記載する場合、特許庁では以下のようなものを求めています。

音符、音部記号(ト音記号等)、テンポ(メトロノーム記号や速度標語)、拍子記号(4分の4拍子等)、言語的要素(歌詞等が含まれるとき)を必ず記載します。また、演奏楽器や声域等の音色をなるべく記載します。

なにやら難しそうですね。(笑)具体的な例を登録例から見てみるとこのようになります。

 

登録5804299(商標登録5804299号)

 

なるほど、言葉で言われるとわかりにくいですが、例を見るばわかりやすいですね。

 

文字を用いて記載する場合

では、文字を用いて記載しる場合はどのようにするのでしょうか?

擬音語又は擬態語と組み合わせる等の方法により音の種類を特定して記載します。また、音の長さ(時間)、音の回数、音の順番、音の変化(音量の変化、音声の強弱、音のテンポの変化等)等についても記載します。

これも具体例で。

 

第5804565(商標登録第5804565号)

 

なるほど。
これらの出願人(権利者)の方は、出願の際に、あの(?)音をCD-Rに入れて提出したのでしょうか。。。

新しい商標の制度の発展はこれから

今回新しい商標の一つとして音の商標を取り上げてみましたが、現時点で閲覧できる音商標の出願件数はなんと、

 

359件

 

です。その中で登録されたものは20数件。これから類否がどのように判断されていくか、どのくらいの権利範囲があるのか、まだまだ未知数です。

 

今後どのように発展していくか見ていく必要がありそうです。