6つの視点でデザインを表す

意匠登録出願 = 図面がキモ

意匠登録出願は、特許や実用新案と違い、デザインを図面や写真等で表すのみなので比較的手続しやすい知的財産権です。

逆に権利化したいデザインを図面や写真を元に認定されますので、その作成方法がキモになります。
では、意匠登録出願で求めている図面はどのようなものがあるでしょうか?

デザインを特定するにはどこからの視点が必要でしょうか?

まずはこの物品をイメージして頂けれと思います。

 

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なんの変哲もなさそうなデザインですが(汗)、この物品のデザインを特定するにはどのような図が必要か…
斜め上から、斜め下から、前から、横から、後ろから…
この物品にもいろいろな側面がありそうですね。

 

ご存知の方はいらっしゃると思いますが、特許庁ではデザインを特定する作成方法として、正投影図法を求めています。

 

正投影図法とは?ご存知の方はいらっしゃるかもしれませんが、

1.正面図-前からまっすぐ見た図
2.背面図-後ろからまっすぐ見た図
3.右側面図-右側からまっすぐ見た図
4.左側面図-左側からまっすぐ見た図
5.平面図-上からまっすぐ見た図
6.底面図-下からまっすぐ見た図

の6つの図から物品を表す図法です。この6つの視点が意匠のデザインを特定する上でその役割を果たします。

それでは、この図法を用いて、先ほどの図を書いてみましょう。

正面図-前からまっすぐ見た図

まずは、正面図から。まっすぐデザインを眺めてみましょう。
よ~く、よ~く、眺めてましょう。

 

正投影図法をご存知の方はわかると思いますが、正投影図法の図は真正面から光を当てた影がその図面となります。

 

ついつい小細部まで見ようと思って目を近づけてしまうと、正面だけのつもりが側面もなんとなく見えてしまいます。
これは、目は2つあり、その視差によって立体をイメージできるようになっているため、近づきすぎると片目は正面でも、もう片目が側面を映してしまうからです。

 

ポイントとしましては、
ちょっと離れた位置から物品を見てみる
というところです。

写真で撮影する場合も同じで、撮影する場合には、近づきすぎず、少し離れたところから望遠を使って近づけるときれいな正面図が撮影できます。

 

【正面図】

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この正面図はこのようになります。

背面図-後ろからまっすぐ見た図

背面図も正面図と同じように…

 

【背面図】

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実は最初の図で見えない部分の角が切れていたんですね。。。この図形の制作者の無理矢理な意図が感じられます。(汗)

右側面図と左側面図

正投影図法でさっそく右側と左側を見てみましょう。
図はこのようになります。

 

【右側面図】

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 【左側面図】

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これでさらに見えない部分の形が見えてきました。

最後に上からと下から

最後に上から(平面図)と下から(底面図)を作成しましょう。

 

【平面図】

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【底面図】

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平面図で表せなかった個所が底面図で見えてきました。

以上、正投影図法によって、この物品のデザインが特定できました。
しかしながら、六面図だけでは、なかなか物品をイメージできない場合があります。
今回の四角だけの図面だとイメージするのが大変ですね。

 

そこで、参考として斜め上から見た図、つまり最初の図等も付けることで、この物品のデザインをより伝えやすくなります。

 

最後にもう一つの図面作成のポイントとしては、

六面図全てにおいて、同じ縮尺で作成する

ことがポイントです。たとえば、右側面図が縮尺を間違えて大きくなっていると…はたしてどんな物品になるでしょうか…。