進歩しようとする気持ちは大切ですよね
1年後、5年後、10年後、このブログを書いたことを思い出すのでしょうか…。
その時、少しでも自分自身進歩していたいですね。
本田宗一郎さんは、こんな言葉を残しているようです。
-本田宗一郎
まさに、そうですね、何もしなければ0。何かすればマイナスになることもあるかもしれませんがプラスになることもある。
もしマイナスになってもまた一歩。これこそ進歩の要なのかもしれません。
昔々、ニュートンさんもこんな言葉を残しています。
-ニュートン
まさに探究心。発明にもつながる言葉ですね。
今日やったことが明日につながる。そう思って人生も発明も進めたいものです。
きょうはこれが最善だと思っていることでも、考え方によればまだまだ他に道があるかもしれないのである。ところが、これはこんなものだろう、これでいいのだろう、ということでみずから限界をつくってしまえば、一歩も進歩することはできないと思う。
-松下幸之助
ドッキとするお言葉です。日々の仕事でパターンを作って、このパターンにのせることで、仕事がスムーズに流れるのですが、このパターンを使っている限り、もう一歩も進歩しないということなんですね。反省です。
もしかすると日々の仕事のパターンを脱する方法の中に、重要な発明が隠れているのかもしれません。
・・・
これは特許庁の審査基準です。特許法第29条第2項の趣旨です。名言ではありません。(汗)
特許における審査においても、その発明に進歩があるかどうかは重要な役割を果たしています。
特許権を取得するためには、新しい発明であることも必要ですが、進歩性がある発明であることも必要になります。
特許における進歩があるって?
以前のブログで発明が新しい(新規性がある)ことが特許権取得のための一つの条件と言いました。
これは、書類に書いた発明そのものがすでに公知の技術であるかどうかという点を審査されるものです。
進歩性というのは、書類に書いた発明そのものが公知の技術ではないが、他の技術等から当業者が容易に想定できる技術であるかどうかを審査するものです。
例えば、
鉛筆があります。
消しゴムがあります。
2つあるのは邪魔なので、それを一つにして消しゴム付鉛筆を考え出しました。
しかし、すでに一般的な鉛筆とすでに一般的な消しゴムを組み合わせただけで容易に想定できるものなので、進歩性がないということになります。
(※もちろん今では消しゴム付鉛筆も一般に知られているものですが、その当時の技術水準で考えます。)
当業者ってどんなひと?
じゃぁ当業者が良いに想定できない技術だったらいいんでしょ~
と思われるかもしれません。もちろんその通りなのですが、審査基準で想定している当業者とは、
というものすごい人を想定しています。(汗)
とすれば、特許庁の審査官はすべての技術を熟知している神なのか?そんな人たちに立ち向かえるのか?とイメージしてしまいますが、そんことはありません。
審査官も人ですし、熟知している技術もあれば、まったく知らない技術もあります。もちろん私たち弁理士も同じく、熟知している技術もあれば、知らない技術もあります。
つまり、このすごい人はあくまで想定されている基準としているものです。
このように、完全体なる人物が審査するわけではなく、人が審査するものですので、実務上で言うと、進歩性の有無をどう判断されるかを完全に予想することは非常に難しいものです。
したがって、いくら予想してもらちが明かないものですので、進歩性があると考えた発明は、出願してしまう方が良いのではないでしょうか。
まさに本田宗一郎さんの
人間が進歩するためには、まず第一歩を踏み出すことである。躊躇して立ち止まっては駄目である。
です。
進歩性判断のポイント
とはいえ、端から進歩性がないものを出願するのももったいないので、主なポイントを4つ上げてみます。
①単純に材料を変更したり設計を変更したりしたもの
例えば、木材を使用するところをプラスチックにしたり、コップの淵の厚みを変えたりなど、単純に既存の技術を変更したものは進歩性がありません。
②単なる寄せ集めであるもの
上記の鉛筆の例のように、すでにあるものを単純にくっつけました、というものは進歩性がありません。
③他の技術分野からの転用が容易に想像できるもの
他の技術分野で使用されている技術を単純に転用した発明も進歩性がありません。
④既存の発明内容中に示唆されているもの
既存の特許出願の書類中に、その発明した内容が示唆されていると、進歩性がありません。
以上、簡単に4つのポイントを上げてみましたが、もちろんその変更によって想像以上の効果がある場合などは、進歩性があると判断されることがあります。
ただ、基本的に上記のような発明は進歩性がないと判断されますので、出願をされる時のひとつの目安として参考にして頂ければと思います。