「商標審査基準」45年ぶり大幅見直し

商標審査基準 3月22日発表

特許庁は、社会情勢等の変化に対応し、商標審査の予見可能性を向上させるため、かつ、ユーザーにとって明確かつ分かりやすいものとすべく、指針となる「商標審査基準」の内容及び構成について大幅に見直しを行いました。

経済産業省HPより引用

 

ちなみに、「商標審査基準」ってなに?というところですが、商標審査基準の序文には以下のように書かれています。

法律の運用にあたっては、行政庁にある程度の裁量がまかされているので、ほとんどの行政庁は、条文解釈等を通達することによって、その法律運用の妙を図っている。しかし、それがあまりにも程度をこえると、いわゆる通達行政の弊害が顕著になり、国民の利益が害されるようなことになりかねない。商標審査基準-序文より引用

 

簡単にまとめると、

商標法という条文レベルでは個別の判断(一般名称って何?似ているってどこが?)が難しい場合があり、その個別の判断を特許庁内で行っているわけですが、特許庁内で独自に判断してしまうと平等に審査できない

という弊害があるということですね。

 

そこで、特許庁内でどのように審査をするかというのをある程度具体的にしたものが商標審査基準です。

小さな冊子の大きな一歩。

商標審査基準が45年ぶりに大幅見直しがされました。

初版が公表されたのが昭和46年3月31日だそうです。もちろん法改正があるたびに修正されたり付け加えられたりしているのですが、文章の体裁等も修正されたのははじめて(?)なのかもしれません。

 

内容もさらに具体的になったり、体裁も整えられたりして、見やすい、わかりやすいがさらに一歩進んだと思います。

ただ、専門家以外の方が読んでもわかりにくいかもしれません。(汗)

人気の商標に、さらなる魅力を。

tm_chart特許出願等統計速報 平成28年1月分より

 

特許庁の商標出願件数統計データを見ると平成25年まで横ばいだった出願件数が、平成26年後半から少しずつ右肩上がりになっています。商標の重要性が一般的に認識され始めたということでしょうか。

 

商標は、

・識別機能
・出所表示機能
・品質保証機能
・宣伝広告的機能
(→商標ってなんだろう?-商標の役割

の機能を持ち、営業展開するには必須の権利になりつつあります。

 

今後商標登録出願件数が増えていくにあたって、登録できるかできないかの基準は重要な位置を持っていると思います。
もしご自身で商標登録をお考えであれば、一読しておくことをお勧めいたします。

商標審査基準史上、最もパワフルな基準。

今回は主に3条関係の改訂がメインかなと思います。昨年の新しい商標に関する審査基準を含め、全面的に内容が新しくされている部分があります。

 

3条関係というのは主に識別力に関するルールです。
商標は、普通に使用される名称ではなく、特徴のある(他との差別が識別できる)ものでなければなりません。(→商標の条件1

普通とはどういう基準で判断するのか? 特徴が”ない”というのはどういう基準で判断するのか? を定めているのが3条関係です。

 

例えば、今回の改訂で、
一般的な名称として、

・商品「サニーレタス」について、商標「サニーレタス」
・商品「電子計算機」について、商標「コンピュータ」

が追加されていたり、
逆に、普通名称に含まれる俗称について、

・「一六銀行」(質屋による資金の貸付け)
・「呼屋」(演芸の興行の企画又は運営)

が削除されていたりします。

質屋による資金の貸付け”の俗称を一六銀行と俗称で言ってたんですね。(汗)
たしかに現在では使われていないように思います。歴史を感じますね~。

 

上記の例は細かいところではありますが、現状に比較的近い例が提示されていたりと大きな変更がなされています。(逆にこれまで修正されなかったことが不思議ですね。)

 

あなたに必要な商標審査基準は、これ一冊。

tm_kijyunということはさすがにないのですが(汗)、商標登録手続きをする上では欠かせない一冊だと思います。

改訂版は2016年4月1日から適用されるようですので、商標登録出願をご検討であればぜひこちらからご参照頂ければと思います。

 

商標審査基準〔改訂第12版〕について(特許庁HP)

私たちも日々勉強です。。。