商標ってなんだろう?-商標の役割

商標登録をしなければ!

ニュースなどで商標の問題を聞くことがあると思います。

 

「商標をマネされた!」
「先に商標を登録されてしまった!」
「模造品が出ている!」
...

 

そのような状況ですので、会社の商標は大丈夫だろうか、早く商標登録をしなければ、とただただ焦って「まずは商標登録!」のような感覚が最近多く見られるように思います。

 

もちろん商標を登録しておくことは大切なことです。しかも日本ではルールとして「先願主義」の立場をとっていますので、他人に使われたくない商標を先に登録しておくことも重要です。

 

しかしながら、登録しておけばいいやではなくて、ここで少し立ち止まって商標の役割を考え商標が重要である理由をしっかり頭に入れた上で、商標登録を進められると良いと思います。

商標の4つの役割

商標は、商品の名称だったり、サービスの名称だったり、取引に用いられる標識のことをいいますが、その主な役割として4つの機能があります。
以下のキーワードの中に、だいたい意味が集約されていますので、これらを見ただけで「なるほど」と思われる方がいるかもしれませんね。

 

・識別機能
・出所表示機能
・品質保証機能
・宣伝広告的機能

識別機能

商標の識別機能とは、簡単に言えば、商品を買おうとする人が、自社の商品と他社の商品を区別することができる機能のことを言います。

つまり、同じ商品群(時計、パソコン、スマートフォン、飲み物等々)の中から唯一の商品を識別できる標識としての機能のことです。

 

商標がなくても、商品によって形状が異なるものであれば識別できるかもしれませんが、例えば、コンビニなどで、商標がない同じ1.5Lの容器が単に陳列されている中から「コカ・コーラ」や「ファンタオレンジ」を探し出すのは至難の業です。

色でわかるかもしれませんが…このオレンジは水のような少し透明感のある色だから…なかなか難しそうですね。

 

そういうことを考えなくても、商標があればパッと見て識別できます。
これが商標の識別機能です。

出所表示機能

商標の出所表示機能とは、商品を買おうとする人がその商品がどの会社の製品であるかを知ることができる機能です。

 

世界的に有名になっているスマートフォン「iPhone」を例にとってみると、
例えば、家電量販店に「iPhone6」の商標がない(値札にも書いてない)まま、同じような筐体が陳列されていたらどうでしょうか?ん~同じようにきれいな画面で同じようなデザイン、最新のOSも全部入っている、けどこれはiPhone6…?

「iPhone6」と書いてあるだけで、このスマートフォンが、アップル社の製品であるiPhoneであることを知ることができると思います。

 

このように商標を通じて、その商品がどの会社から出されている製品かを知ることができる機能を出所表示機能と言います。

品質保証機能

商標の品質保証機能とは、先の出所表示機能に似ているところがあります。

 

「iPhone6」の商標がつけられたスマートフォンは、アップル社が製造したスマートフォンの品質を有している。「コカ・コーラ」の商標がつけられたドリンクは、コカ・コーラ社が製造したコーラの品質を有している。

 

つまり、その商標がつけられた商品からは同一の品質が得られるという安心を示すことができる機能が品質保証機能といいます。

 

 

商標の出所表示機能と品質保証機能は継続的に維持することで信用を蓄積していくことができます。

商品の品質を高く維持することで品質保証機能が蓄積されていき、またそれを継続することで出所表示機能が蓄積され、その結果として信用、つまり企業のブランドとなっていきます。

宣伝広告的機能

商標の宣伝広告的機能とは、買う人が商標を記憶することで、その商品に対するイメージができ、購買意欲を起こさせる機能のことをいいます。

 

言いやすい商標や面白い商標、商品のイメージを彷彿させるような商標は、人の記憶に残りやすいので、もしその商品の品質が良ければ、次にまた同じ商標の商品を期待して購入すると思います。

 

例えば、スーパーに行って、たまたま美味しそうな商品を見つけ購入したところ本当に美味しいものだったとき、改めてスーパーに行ったときにまた探したりしませんか?

 

このように、商標によって購買意欲を起こさせるような機能を宣伝広告的機能と言います。

やっぱり商標登録は重要!

以上のように、商標の主な役割は4つあります。

 

商標の機能をまとめてみると、
商標によって他社の商品と区別でき、品質を維持することでブランド力ができ、さらには購買意欲を起こさせるものといえます。

 

そこから、商標をマネされたら…、品質が低い模造品が出ていたら…、せっかく考えた商標が先に登録されてしまったら…。イメージしてみるとなかなか恐ろしいものがあります。

そう考えると、やっぱり商標登録は重要ですね。

 

もちろん、そのような保険としての商標登録の意義もありますが、以上のような商標の機能を踏まえて、新しく商標を検討してみるのも良いと思います。