発明って何?-権利化できる発明

発明って何?-権利化できる発明

発明は辞書で調べてみると、
 それまで世になかった新しいものを,考え出したり作り出したりすること。
という意味があるようです。

 

これまで世の中になかった斬新な考え方や新しいことを考え出すことはとても素晴らしいことです。
しかし残念ながら、特許制度ではすべての新しいものを対象としているわけではありません。

 

そこで、新しいものを開発、考案された際に、まずそのアイデアが特許制度での対象になり得るかを検討しなければなりません。

「発明」に該当しないもの

特許庁では、発明に該当するものではなく、発明に「該当しないもの」として、審査基準において列挙されています。
審査基準で発明に該当しないものとされているアイデアは以下のものです。

 

(1)自然法則自体
(2)単なる発見であって創作でないもの
(3)自然法則に反するもの
(4)自然法則を利用していないもの
(5)技術的思想でないもの
(6)発明の課題を解決するための手段は示されているものの、その手段によっては、課題を解決することが明らかに不可能なもの。

(1)自然法則自体

「発明」は、自然法則を利用したものでなければならないから、エネルギー保存の法則、万有引力の法則などの自然法則自体は、「発明」に該当しない。

 

研究開発の末、「こんな素晴らしい法則があったなんて!」と新しい自然法則を発見しても、それ自体は特許の対象ではありません。
たしかに自然法則自体は考え出されたものではなく、自然にあるものを見つけただけといえます。

残念ながら自然法則は特許の対象となりません。
しかし、素晴らしい発見ですので、学術的に発表されても良いのかもしれません。

(2)単なる発見であって創作でないもの

「発明」の要件の一つである創作は、作り出すことであるから、発明者が意識して何らの技術的思想を案出していない天然物(例:鉱石)、自然現象等の単なる発見は「発明」に該当しない。

これは(1)の自然法則に通じるものです。
未開拓地に乗り込んで、人類が触れることがなかった新しい植物や動物、雨でも雪でも雷でもない不思議な自然現象を発見しても、やはり特許の対象となりません。

それでも素晴らしい発見ですので、やはり学術的に発表されても良いのかもしれません。

(3)自然法則に反するもの

発明を特定するための事項の少なくとも一部に、熱力学第二法則などの自然法則に反する手段(例:いわゆる「永久機関」)があるときは、請求項に係る発明は「発明」に該当しない。

特許の対象となるためには、自然法則だけでは対象となりませんが、逆に自然法則に反するものも特許の対象となりません。
例に掲げられている永久機関もそうですが、重力や電気磁気の法則などに反するようなものは対象ではないとされています。

しかしながら、今後どのように科学の進歩が進むかわかりませんので、将来摩擦抵抗を無視できるような技術が発展すれば、永久機関も発明の対象になるかもしれません。

(4)自然法則を利用していないもの

請求項に係る発明が、自然法則以外の法則(例えば、経済法則)、人為的な取決め(例えば、ゲームのルールそれ自体)、数学上の公式、人間の精神活動に当たるとき、あるいはこれらのみを利用しているとき(例えば、ビジネスを行う方法それ自体)は、その発明は、自然法則を利用したものとはいえず、「発明」に該当しない。

これは例にある通りですね。
自然法則を利用して作られたものが基本的に対象となりますので、ゲームのルールや会社のルール、それこそ法律なども人が決めたことなので、対象となりません。

ただし、人為的な取り決めであっても、そこにコンピュータなどのシステムが介在する場合には、自然法則を利用しているということになり、特許の対象となる場合があります。

(5)技術的思想でないもの

自然法則を利用した発明となると、つまりは、他の人も同じようにできる技術であるということが言えます。

このことから、誰でもまったく同じようにできないことは特許の対象となりません。
誰でもまったく同じようにできないこととして、審査基準では、
「技能」(ボールの投げ方等)、「情報の単なる提示」(文字や数字等)、「単なる美的創造物」(絵画や彫刻等)を挙げています。

いわゆる、人によってできたりできなかったりするものは対象ではありませんということになります。

しかしながら、これについても、例えばボールの投げ方を訓練できるマシンだったり、自然法則を利用したものであれば特許の対象となりえます。

(6)発明の課題を解決するための手段は示されているものの、その手段によっては、課題を解決することが明らかに不可能なもの。

特許庁の審査基準の例ではこのようなことが挙げられています。

例:中性子吸収物質
(例えば、硼素)を溶融点の比較的高い物質(例えば、タングステン)で包み、これを球状とし、その多数を火口底へ投入することによる火山の爆発防止方法。
(火山の爆発は、火口底においてウラン等が核分裂することに起因することを前提条件としている。)

SF的ですね。
この例でいえば、台風を消し去るミサイルや雷で磁場を発生させてタイムトラベルするというのも特許の対象にはならなさそうです。
それでも、科学が進歩して行けば、もしかしたら将来的には対象になるのかもしれません。

特許の対象になるかどうかは、やはり専門家にご相談ください!

以上、特許庁の審査基準に挙げられている「特許に該当しないもの」ですが、ある程度経験をしていないと判断は難しいところではあります。

上記のような例にそのまま該当するようであれば対象とならないかもしれませんが、どちらか迷うようであれば、やはり専門家にご相談されることをお勧めします。

 

参照サイト:特許・実用新案審査基準-産業上利用することができる発明