商標の指定商品・指定役務

商標登録できた!=何でもかんでも権利範囲

”商標登録できた=何でもかんでも権利範囲”ではありません。
”商標登録できた!=何でもかんでも権利範囲”です。

 

”!=”は、プログラミング言語であるC言語等で使われる比較演算子で、左辺と右辺が等しくないことを表します。
ぜひ覚えて頂いて・・・方向がずれてしまいました。(汗)

 

お伝えしたいことは、商標登録したからと言って、何でもかんでも権利行使できるわけではありません。

 

よくお問合せで、
「この商標を登録して誰にも使わせたくない」
とご相談いただくことがありますが、
商標にもしっかり権利範囲があります。

 

権利範囲内であれば誰にも使わせないようにできますが、権利範囲外では使わせたくなくても権利が及びません。

では、その商標の権利範囲とはなんでしょうか?

商標権は「商標+指定商品・指定役務」

商標登録する場合には、願書に商標と”指定商品・指定役務”というものを記載します。
この指定商品・指定役務が商標の権利範囲となります。

 

簡単に言うと、

「鉛筆の商品名としての商標X」

「時計のシリーズ名としての商標Y」

「ラーメンを提供するサービス名(店名)としての商標Z」

 

などなど、商標権は「商標+指定商品・指定役務」というかたちで発生するものです。

 

この例でいうと、「鉛筆」であったり、「時計のシリーズ」であったり、「飲食店」であったりするものが、指定商品・指定役務であり、商標の権利範囲を示しています。

 

「鉛筆の商品名としての商標X」を権利化できれば、鉛筆の商品名として同じ商標を他人が使っていた場合、それをやめさせることができます。
しかし、鉛筆以外の商品名として使っていた場合には、権利範囲外ですのでやめさせることができません。

 

まとめると、商標権は「商標+指定商品・指定役務」から構成されているとを、ぜひとも頭の片隅に入れておいて頂ければと思います。

指定商品・指定役務の選び方

指定商品・指定役務は複数選ぶことができます。
もちろん、「鉛筆と時計とメガネとパソコンと衣類とバッグと貴金属と…」と選ぶことができます。

 

が、

 

①たくさん指定するとその分特許庁の費用(特許印紙代)がかかります。
②たとえ登録できたとしても、3年間指定した商品・役務で使用していないと取消の対象となります。

 

という注意点があります。
これらについては、「一つが良く、たくさんがダメ」という杓子定規ではなく、実際の状況を考えた上で、どのように商品・役務を選択することをお勧めいたします。

 

この点がわかりにくいようであれば、ぜひ私たちのような弁理士にお気軽にご相談頂ければと思います。

なお、①についてですが、どのように増えると費用が増えるのかご説明します。

特許庁が分類している商品・役務から選ぶ

特許庁は、権利範囲を踏まえて様々な商品や役務を45個のカテゴリーに分類しています。(これを区分と言っています)

実際には、この45個の区分の中にある商品・役務から、権利範囲にしたい商品・役務を選択します。

 

この45個の区分を、正確には「類似商品・役務審査基準」といいます。

特許庁のウェブサイトで公開されておりますので、お時間があるときにでもチェックされてはいかがでしょうか?こんなものまで!?という発見があるかもしれません。

 

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類似商品・役務審査基準(https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/ruiji_kijun10-2015.htm

 

例えば、先ほどの「鉛筆」は、第16類の文房具類の中の筆記用具の中にあります。特許庁がいろいろな商品を細かく分類していることが分かると思います。

 

ちなみに脱線すると、鉛筆ではなく、その上位カテゴリである「筆記用具」を選択すると鉛筆を含めた権利範囲となり少し広くなります。さらにその上位カテゴリである「文房具類」を選ぶと鉛筆を含めてさらに広い権利範囲となります。
その上位カテゴリである…ないです。(汗)基本的には四角で囲ってある商品・役務が最上位概念です。
権利範囲を広めたい場合には、上位カテゴリを選択しましょう。

 

このようにさまざまな商品や役務を45個の区分に分けていますが、特許印紙代は、複数の区分にまたがるとその区分数の費用がかかるという制度になっています。

出願時の特許印紙代は、

3,400円+(8,600円×区分数)

となっていますので、

 

第16類の鉛筆だけを指定すると 3,400円+(8,600円×1区分)=12,000円
第16類の鉛筆と第14類の時計も指定すると、 3,400円+(8,600円×2区分)=20,600円

 

というように計算されます。
複数カテゴリにまたがる場合には、上記の式に当てはめて、前もってコストを把握しておきましょう。

とはいえ、466ページから該当する商品・役務を見つけるのは大変!

ですよね。(汗)
特許庁のHPでは、入力したものがどの区分に入るかを検索できるシステムがあります。

 

syouhinekimusearch

商品・役務名検索(https://www2.j-platpat.inpit.go.jp/SH1/sh1j_search.cgi?TYPE=000&sTime=

こちらで、検索して簡単に調べることができます。

 

ただ、逆に該当する商品・役務が複数出てきてしまったり、むしろ全然ヒットしなかったりする場合があると思います。

 

もちろんご自身で調べて手続することは素晴らしいことと思いますが、もしわからないようであれば、特許庁の窓口に問い合わせるか、やはり私たち弁理士にご依頼頂くことをお勧めいたします。